学大山の会「黒松内岳・狩場山」(3)

takasare2006-08-05

 結局、Yaさんが探した、我々の立っている登山道の延長線上に道はあり、雪渓の下を巻いて頂上に向かった。
 前日の黒松内岳でも、二日目の狩場山でも下山後しばらくするとKaさんは「一本道だから下りは自分のペースでどうぞ」と言って、いつの間にか最後尾についている。TagさんYasさんたちは走っているのではないかと思うほどの速さで、まるで登山口に楽しいことでも待っているかのように下りて行く。私は、「もし山で怪我をするとしたら下るとき」と思っているほど下りは「おっかない」からおそい。両手で手当たりしだい枝をつかみ、岩に手をかけてずり降りるように下ることにしている。手を塞ぎたくないから膝にはいいはずのストックも使えない。下りになると写真の数も極端に少なくなる。遅いなぁーと自分でイライラしても「怪我をしたらもっと迷惑を書けることになる」と言い訳してズルズルズルズル下る。後ろに何人かいてもそんな自分への言い訳であせらないですむ。狩場3合目から下は、少し急いで降り、いい場所で後続を待って写真を撮ろうと考えたが、私の急ぎくらいでは差をつけることができず振り返ると写真を写せないほどいつもすぐ後ろに誰かいた。また今回も、くだりの写真は無い。私が登山口の平地に降り立ってカメラを構えたら、三人のリーダーたちはもう降りてきていた。
 一日ふもとで待つだけだった団長のTaさん夫妻がアイスを用意して待っていてくれた。下山してホッとして冗談を言いながらアイスを食べる。
 「山岳部的縦関係」を自然なものにし、この山行を40年以上続けさせたのは信頼なのだろうとつくづく思う。この会の人たちを見ていると「信頼」と言う言葉が陳腐に思える。冒頭書いた「根源」はもっともっと深い所にあるのだとも思うが、そこには立ち入れないし、その気も無い。彼らの居心地のいい「縦関係」の中に身を委ねていれば、山の楽しさを味あわせてくれるから…。