花の稜線を4200m無名峰まで(3)

takasare2006-07-19

 王さん手作りのサンドイッチをザックから出し、ジュース、お菓子で小学生の遠足のような気分で昼食を花の中で食べた。私と同年代の女性軍が花の中で写真を撮りあっている。きっとこのサクラソウの中にイメージしているのは少女時代の自分だろう。
 15分ほど花野の中で写真を撮り、景色を楽しんだ。今日は最後まで四姑娘山は姿を見せないつもりらしい。登ってきた人だけで記念撮影をした。体調が万全でないKoさんは最後のストゥーパのところにいるらしい。降りようとザックを背負ったらKoさんが登ってきた。他の人には降りてもらい王さんにシャッターをお願いして我々だけで記念撮影の撮り直しをした。Koさんに登頂気分を味わってもらってから下山を開始した。
 高い山がこの無名峰を圧するように周りにそびえている。少しは突き出ているが大きく見れば、四、三、二、大姑娘と連なる山塊の裾にしか見えないこの頂だが、名前が在っていい。これだけ苦労して息絶え絶えに登ってきた者をせめて名前で迎えてほしい。
 足が軽い下りの道は余裕が出てきた。改めて大きな景色の中を歩いている自分、形も色も数も溢れるほどの花の中を歩いている自分を少年のように感じながら口笛を吹いてみた。苦しいので止めた。少年気分は、ホテルに帰ってビールを飲んだときに消えた。