花の稜線を4200m無名峰まで(2)

takasare2006-07-18

 四姑娘山は相変わらず雲に隠れているが、大姑娘はすっかり見えるし、三姑娘もその鋭い嶺を時折覗かせる。それらをバックに花の中で子どものような人たちを写した。きっと息苦しさは同じだろうなと思うけれど、表情には見えない。3900m辺りでは一息10歩になってしまった。
 15人のグループは、何人かが第三のストゥーパで登るのを断念し、残りも間隔が空いて長くなってしまっていた。先頭はやはりSaさんでその次は一昨日巴郎山峠ではバスから降りられなかった女性が歩いている。王さんYaさんが続き、さっき私を追い抜いていった植田さんが私の前を歩いていく。Yaさんが私の後ろのKuさんに黄色い百合を教える。なんとか登っていってそれを撮しているとKuさんが追いついてきてカメラを向けている。それらがスローモーションのように感じられる。前のYaさんたちが見えなくなった。そして誰を乗せてきたのか馬がいる。頂上の平坦な部分に立ったのだろうと嬉しくなってがんばったら偽ピークだった。ピークは更に100m向こうにあった。高度計を見ると4100前後にしかなっていない。苦しさのあまり、折角の道具を見ずに感情に負けてしまっている。息苦しさは深呼吸ですぐ回復するので、いっそうゆっくりしたペースにしてあせりをすてた。頂上が近づいた。
 びっくりした。頂上はそれまでとは違って2〜30cmの黄色いサクラソウが一面に咲いていた。途中にもあったが、これほど群生していると今までのサクラソウと完全に別種の花に思えた。少し薄暗い雲にサクラソウが黄色く照り返しているように思えた。見事なほどたくさんのサクラソウが頂上の花野で空に向かって立っていた。