大千軒岳(2)

takasare2006-06-20

 頂上を乗っ越して下り始めてすぐ、霧の中から湧くようにたくさんの登山グループが現れた。函館の山岳会の肩をリーダーにした東京の方々らしい。新道口のバスに思い至る。相当高齢の女性も見受けられた。天気が悪く気の毒だが、その分花が慰めてくれたろう。いつもは下って、また上り返す急勾配だが今日は旧道を下りるので幾分気が楽だ。
 千軒清水への道の両側は期待通りミヤマキンポウゲの盛り。しかし、頂上直下のあるという情報のアツモリソウは探しても見つからない。少しおそいハクサンイチゲが斜面を彩っている。その中に、ミヤマオダマキミヤマキンバイ、アズマギク、チシマキンレイカが美しい。アツモリソウは去年と同じ場所にあった。去年どおり保護者のように傍らに咲くハクサンチドリとともにその貴重な姿をあらわした。しかし、周りの草花は踏み荒らされて無残極まりない。
  あのバスの人たちが入れ替わり立ち代わり踏み込んだのかもしれない。来年もあり続けるだろうか。
 十字架の陰のシラネアオイの窪地で昼飯を食べた。今日の主目的アツモリソウが確かめられたし霧で見るべき物も無いので初めての旧道を歩き出した。
 
 前千軒の肩への軽い登りの途中ではっと気がついた。旧道口へ置いた私の車の鍵を新道口に置いた坂口さんの車においてきてしまったのである。坂口さんのキーを持って頂上を乗り越す道を引き返して新道口へ降りようと考えたが、みんなに止められた。旧道口で待ってもらって歩くことにした。それ以後気になって気になって初めての旧道を楽しむ余裕も無く雷の中落ち着かなく歩くことになった。途中坂口さんが走って先に下りて新道口まで行ってくれると言う。その方が買う実に早いことがわかるので、私が枯れのザックを預かり甘えることにした。間もなく雨も降りだし、雨具を着たが、坂口さんは濡れながら走っているのだろうなと益々自分のうかつさに腹が立った。写真も満足に撮れずに下りてしまった。幸い雨はすぐ止んでくれた。下りて10分も経たないうちに坂口さんの車が着いた。旧道口から新道口まで3キロメートルの登りを走ったのだろう。すごいパワーだ。
 松前温泉で汗を流し、17:15にツシマの駐車場に着いた。自分の失敗に興奮したのか全く眠くならなかった。