「蕎邑」山都

takasare2005-11-07

 山都町は蕎麦で町起こしをしている町で、以前明と来た時にはもう少し奥まった国道沿いの大きなお屋敷風の農家で蕎麦会席を食べた。水蕎麦から始まってのコース料理はその前の米沢で蕎麦と肉を食べた後だったので腹が苦しかった思い出の方が強い。
 今回は、この旅の直前函館のデパート物産展で実演していた「福島県山都町・蕎邑」の蕎麦を食べたので本家はどうかと、急遽リストアップして寄ることにした店である。
 山肌に点在する農家を拾うように伸びる道は、狭く曲がりくねってそのつながりが分かりにくく、同じ所を何度か通ってやっと見つけた。米沢で昼だったので少し遅い。開店しているかが心配だったが、暖簾は下がっている。しかし、入った店には誰もいないし二三度呼んでも返事がなかった。
 やっと出て来た女の人に「鴨せいろ」(1150円)を注文した。もりそばとかけそばは函館で食べているので、少し違うもので食べくらべようと思ったからである。この旅で、鴨せいろに目覚めたせいもある。しかし、出て来た麺は函館で食べたものとは違っていた。函館は少し厚く延ばした蕎麦を細く切ったような平たい麺だったが、本家ではいわゆる細麺だ。何もつけずに啜ると口の中で少し物足りない感じがする。函館で食べた蕎麦にくらべると味や香りが弱い。もしかすると、午後の個の時間では打った時間から大分過ぎているのかもしれない。案の定、熱い鴨汁につけて食べると、細い麺がコクのある鴨汁に負けてしまっている。残念だったが仕方がない。旅先のデパートという条件が良くない方の蕎麦が美味しく感じた。蕎麦のデリケートさが味わえた味比べだった。
 美味しい鴨汁だったので濃いめの蕎麦湯で割って、全部いただいてしまった。