(2)ヤンカ山

若狭の滝

 この山は尾根を一周して登山口に戻れるようになっている。登って来た道を降りなくてもいい。というより小さな小さな縦走を楽しめる。東周りコースと西回りコースがあり、今日は東周りコースを登った。西回りは登りがきついということでほとんどの人が東から回る。そのきつい登りの西側の道を降りはじめる。当然きつい下りになる。いきなりロープ場があった。これだけの傾斜はそうないので最後尾からカメラにおさめる。当然遅れる。焦りたい気持ちをがまんして慎重に慎重に足場を確かめながらおりた。少し傾斜が楽になった所で急いで追いついた。林間の道が登り返して最後の長い下りになる所でやっと前が開け、日本海に臨む熊石漁港が見えた。急斜面の造林地の中に潜り込むように道が伸びている。山谷さんが時々立ち止まっては左右を覗き込み、やがてハツ茸を見つけた。それからしばらく茸狩りになった。山谷さんや越田さんは見つかった声を出しているが私は見つけられない。狩猟民失格、サヴァイヴァル不適格である。下手な者がそうするように私も、見つけている人の方へ場所を移した。半分熊のことを考えもう道に戻ろうとした時切り株にけっこう大きな一群の茸を見つけた。「ボリボリは柄のところにかさが…かさがある。」近くに来たYAさんに見せたら「これボリボリ。大きくなる種類のボリボリだ」とのこと。そっくりとったら味噌汁3回分はある。もう十分である。握り飯をランチケースから出し、そこに詰め込んだ。KOさんが「家ではボリボリと落葉しか食わないから」といってくれたハツタケはYAさんからもらった袋に入れ手にぶら下げた。もう採る気は無くなっている。狩猟民不適格の所以である。
 沢音が近付き、道が切れ7mほどの崖にロープが下がっていた。3年前の登山会の記憶が蘇って来た。対岸には車を停めた登山口に続く林道が見える。手のハツタケ袋をザックに入れ二人のおりる姿を映すため先にロープを手にした。降りて始めて気が付いた。滝がある。「若狭の滝だよ」「あーこれが…」WAさんの話で想像していたより立派な滝である。(写真)
 山頂が山頂らしくなく印象がうすくなりがちの山だけれど、茸と若狭の滝、個人的に心に残る山行になった。このさいということで漁港の舟揚げ場まで車を走らせ、山に来ながら海辺で昼飯を食べた。
 見市温泉で汗を流し八雲の酪農地帯を抜けて帰路をとった。