崚  函館元町
 函館山ロープウエイの山麓駅向いにある。喫茶店も兼ねた手打ち蕎麦屋である。窓の外は函館市街が見おろせる感じだが、ロープウエイ駅が視界を遮っているため、せっかくの立地が生かされきっていない。店主は、我等夫婦共に顔見知りなので、近くのギャラリーでの美術展のついでに、初の同伴たかされ探しとなった。理由は、この店主は話好きでかつ、話が長いからである。幸い、我等の前に店に入ろうとしているカップルがいる。我等が入る早々なあなあの話はないだろうと思う。
 知り合い同士の挨拶もそこそこに、もりそば(600円)を頼んだ。奥さんはカップルのコーヒーを受け持ち、店主が我々の蕎麦にとりかかってくれている。話し掛けはない。
 出された蕎麦は、太麺の田舎蕎麦である。そば粉百%での田舎蕎麦らしく、香りも味もそば粉感が十分楽しめる。仕上がりもよく、田舎蕎麦が苦手なはずの妻も美味しそうに食べている。蕎麦湯はやや重で、甘めのたれを楽しめる。蕎麦湯と一緒に、蕎麦湯を寒天で固め、小豆を乗せたデザートがサービスされる。これもおいしい。これらのこだわりを語らせると長いが、蕎麦作りに関してはそれだけの情熱を感じさせてくれる供しかたである。田舎蕎麦が好きな人にはおすすめである。かけそばでも楽しめそうに思った。
 カップルが帰った後、水道水をおいしく健康的に飲めるようにする品物の宣伝をたっぷり聞かされてしまった。