「田舎家」藤城 

 以前はじゅんさい沼の所にあった店である。便利にはなったが、たたずまいと言うか雰囲気は今の所よりは数段良かったような気がする。山形辺りの蕎麦屋のコンセプト(食べたい人に来てもらい、雰囲気もふくめて味わってもらう)を考えると、逆行しているような気がしてもったいない。今でもメニューにはあるが、じゅんさい沼のほとりでじゅんさい蕎麦を食べる方が味は良いに決まっている。
 もり蕎麦(550円)を頼む。太めの麺で、店名にふさわしい田舎蕎麦風である。素ですすると、蕎麦の香りがすっと鼻をついて、期待を抱かせる。田舎蕎麦らしくもそもそ感もあり、しっかり噛んで食べる蕎麦になっている。辛汁はわずか辛目だが、太い蕎麦にあっている。蕎麦の味は、かけ蕎麦への期待も抱かせたが、そばの(しっかり感)に腹の方が「この次」と言った。
 田舎蕎麦が好きな人には、一押しの店になるのではないか。
 蕎麦湯はやや重でこれもおいしくいただけた。