「大草」札幌豊平月寒中央

 地下鉄を降りて地上に出ると、いつもだが方向がわからなくなる。曇っていて太陽の位置がはっきりしないとまったくわからない。電車を下りるまでは進行方向の見当は着くが、地上への階段が曲がっていたり、回っていたりすると自信を持っていた方向感覚は機能しなくなる。仕方ないのでやまかんで歩き出す。これが当る。
 「大草」は目立たなくあった。「つぼやビル」とか「大草」ののれんとかをイメージして探していたら見つからなかった。歩道上のそばの幟と、板看板の「そば」の字がなければ見つけられなかったにちがいない。地下への階段は広かったがその分、店名をそめた幕は小さくなってしまっていた。洋風の食堂と向かい合って「大草」があった。
 ビルの地階らしく、天井が低く、こじんまりとしたみせでL字型をしている。時間があるし、車に載らなくていいので酒を楽しむことにした。冷酒と蕎麦味噌を頼んだ。暖かいそば味噌を冷酒でいただくのはうまい。蕎麦味噌に冷たいところがあったのは少し気になったが
十分楽しめた。
 もり蕎麦を締めに頼んだ。今日は、磯切り蕎麦の日とか言うことで、海苔を練りこんだ蕎麦が出された。水の切れもよくなかったし、変わりそばがあまり好みで無いので、食べながら「もう一度来なきゃ」と思っていた。蕎麦湯はおいしかった。
 舌代に「蕎麦の薬効、栄養価の大なることから大草と名づけた…」とあった。店主のポリシーと店の構えに少なからずギャップを感じた。