「ながを」上藤城

 国道5号線、函館ワイン七飯工場の隣にある。昔は、ドライブインだったように思う。以前、新聞記事で読んだが恵山出身の女性が経営している店だ。
 メニューに紙片がはさんであって「今の値段で(もり500円)十割蕎麦は難しいので、二八で出している。ご了承ください」と書いてあった。蕎麦より値段にこだわった経営なのだろうと思った。
 出されたもり蕎麦は濡れて光っている。どうかな?と思ったら案の定つるつると滑らかな舌触りで、素麺感覚の蕎麦だ。スノコと蕎麦の間も水がある。この水気が、蕎麦の味と香りと舌触りとたれの旨みまで減じて、蕎麦をまずくしてしまうような気がする。恵山出身らしく、せいろの上には細く刻んだガゴメ昆布が添えられていた。そういえば、店内には絵本がインテリア風に置かれ、コーナーにはドラムセットが鎮座し、その隣にはパソコンがカバーをかけられて眠っている。メニューも多く、蕎麦だけでは経営していない店のようだ。