「一源」(2)弘前

takasare2005-07-06

 入るとすぐの壁に、津軽蕎麦と「一源」のポリシーが書かれている。期待が高まる。中は、大きめのテーブルを挟むボックスシートタイプで、そこを仕切る腰高の壁にはテレビのモニター受像機がはめ込まれている。奥の方には小上がりの席もあるが、蕎麦屋というよりファミリーレストランのコンセプトを感じる。壁に掛けられたメニューの札も多い。
 かけ蕎麦を注文して待っている間一度座った客が一様に動き出すことに気がついた。そして手に小皿を持って自席に帰る。小皿の中は漬け物のようだ。立って見ると店内の一角でセルフサービスの漬け物がいただけるようになっている。煮昆布と漬け物は食べ放題らしい。早速小皿にいただく。この旅で三十軒近くの蕎麦屋に入ったがサービスの小皿に煮昆布を出していたのは「一源」だけだった。漬け物も含めて食べ放題の小皿サービスもここだけだった。煮昆布がやわらかく薄味でおいしかった。
 蕎麦が来た。今回の旅では、自分が食べた蕎麦を必ず写真に記録しようと思っていた。店内にデジタルカメラも持って来たが、なんとなく気恥ずかしい。店の人にもなにか言われそうだが、最初の蕎麦を撮らなきゃ記録の意味も意欲もなくなってしまいそうなので、思いきってカメラを持って立ち上がった。煮昆布と漬け物もこの店を特徴付けるものとしてセットしシャッターを押した。後で写真を見たら、割り箸がすでに割られていた。割り箸を割るまでの時間迷っていたようだ。
 蕎麦は、それなりにおいしいが私が函館の「かね久山田」で知っている津軽蕎麦とはちがっていた。というより「美味しいランクのふつうの蕎麦屋さんの蕎麦」という感じだった。壁に書かれているように本当に大豆の呉汁を使っているのかなと思う程その違いを感じなかった。大豆を使っていながらそれを感じさせないところに、この店の「つなぎ」に対する考え方があるのかもしれない。それよりも私の舌に問題が在るのかもしれない。
 では、と思ってもり蕎麦を追加してみたが同じだった。
 (明日は何処の蕎麦屋やら)