残雪

 函館の市街地から南茅部地区へ抜けるところへ川汲峠が在る。今は下をトンネルが通り立派な国道が通っているが、昔はこの峠を超えてバスが南茅部と函館をつないでいた。この道路を峠まで歩き、峠から左に少し登ると台場山がある。箱館戦争の時噴火湾に上陸し五稜郭へ向かう官軍を幕府軍が阻止しようと築いた砲台跡がある。土方ゆかりの戦跡とあって「誠」とかかれた板が建てられている。
 昔バスが通っていただけあってガードレールがあり、傷んでいるが舗装もされている。夏場は峠までは歩きやすい道だが昨日は木立の陰のところや吹き溜まりの強いところ、大きなカーブで日照の少ないところは厚い雪が残っていた。朝の冷え込みでもあれば雪の上を歩けるが暖気が続いた後だけに雪ぐされでズボズボ埋まり、かといってところどころの残雪なのでスノーシューの着脱も面倒で結局ツボ足で歩き通した。前夜飲み会があった体には恨めしい残雪だった。
   残雪や生の肢痕疲れ果て   未曉