泡立草

 暦を見ると新月とある。1日が新月ならば十五日が十五夜かと思ったら満月は十七日だった。陰になって見えない月を「新月」と名付けた古人の感性には感心する。
 この月は名月と愛でられ明月、望月、今日の月、芋明月と詠まれる。そして立待月、居待月、寝待月と惜しまれる。無月と詠んで曇って見えない月を、雨月と詠んで雨で遮られた月をも楽しもうとした。
 今年の中秋の名月が、一日新月として生まれた。
    名の月の生れし夜を祝ぎ泡立草   未曉