卒業

 数えてみたら30余年の教員生活で四度の卒業学年を担任していた。
 しかし、真っ先に思い出すのは最初の勤務校の卒業。
 年度途中の採用だったため半年は前の担任の後を引き継いだ学級だったが、明けて四月、四年生二十四人を担任した。若かったこともあり公私団子のようになってその子どもたちとすごした。そこは小中併置校だったし一学年1学級二十人前後の小規模校だった。二年間、五年生で担任を離れたがその子たちが併置の中学校に行っても、補欠授業に行ったり、部活に手を出し口を出し、学芸会や運動会の準備を手伝わせたり、つながりが薄まることは無かった。日曜日には寝ている内に一人暮らしの住宅に来て一日中遊んでいく子どもたちだった。六年後その子たちがその併置の中学校を卒業するとき私もその学校を去ることになった。就職する子もいたし、家を離れる子もいた。高校へ通う子もバスで30分往復しなければならない。ただただ一緒になって遊んだ実感はあったけど、新しい、知らない人との生活に役立つ力を育てたかどうかの実感は乏しかった。
 私だけでない、小中学校の先生みんなが、我が子のように卒業生をおくり出す卒業だった。
    卒業や拍手握手の手を振りて   未曉