先日写万部山という下からの見栄えはピラミダルだけれど標高は低い山を歩いた。登りの二合目と三合目の中間で樺の木の幹にたくさんの蛹を見つけた。今まさに羽化中のものもあった。脱げたばかりの翅が皺皺で飛び立てずに乾き拡がるのを待っている。白蛾(という名前かどうかは分からないが)である。
 帰り、同じ場所を通ったらほとんど抜け殻ばかりだった。どうしたかなと辺りを見回したら上空樹間の青い空に、たくさんの白蛾が樺の葉と戯れるようにキラキラ飛び舞っていた。
     放たれし樺の葉のごと白蛾舞ふ  未曉