山法師の花

 瓢箪句会の奥の細道を辿る吟行第一日、レンタカーは東北道を南下した。窓外は道路脇の斜面に、そして離れた山裾に白い房状の花が目立つ。ニセアカシアらしい。運転手交代で入った花輪のPAでは「ここにもニセアカシア」と思って近寄ったら山法師の花だった。はっとするほどの白だった。私は修道女の頭に被るものの白を思った。「山法師」名の由来も法師の頭巾を見立てている。
   白清し花山法師花十字   未曉
 今日の吟行の中心平泉中尊寺は三度目だが来るたびに印象が違う。一度目は日ざかりの中小さな娘がいたし、義父母もいたので落ち着かなかった。二度目は小雨が上がった後の早朝を一人で訪ねたので、少し芭蕉の句に浸れたような気がして自己満足した記憶がある。今日は仲間八人で賛同を登った。空気は乾燥していて木陰の多い参道歩きは気持ちよかったがその分境内は埃っぽいような気がして清々しさには程遠かった。今回は仲間と喋りながらだったので特に説明板に古い覆堂で一句できた。
   覆堂雲母のごとくに松落葉  未曉