夏蝶

 初夏の日差しに誘われて懸案だった、野良猫侵入防止の枝折り戸作りをした。物置と母屋の間1メートルほどに取り付けようとしている。鋸を使ってふと眼を上げた壁を蝶の陰が舞っている。陰だけを見ながらどんな蝶か予想してみた。翅に豪華さは感じられないしから揚羽ではなさそうだ。飛び方がちまちましていないからせせりのような小型でもないようだ。拙い抽斗の中からモンシロチョウを予想したらその拙さに答えてくれるモンシロチョウだった。詳しく見れば更に細かく分類される名前があるのかもしれないが、私には真っ白な体を持ちながら黒い影で舞う…。太陽光線の下ではあらゆるものに通じる哀しさのようなものをちょっと感じてしまった。
   夏蝶の黒き影にて訪ひ来たる    未曉