季風(札幌)

 今回は地下鉄東西線新札幌〜大通り間で探した。南郷18丁目駅で降りて栄通を南へ五〜六分に「季風」という蕎麦屋さんがある。1時前だったが客はいなかった。小上がり含めて20席。メニューは蕎麦中心のいわゆる蕎麦屋さんである。明るく優しい声で迎えてくれたおかみ(だと思う)さんに、少し迷って「ごぼう天そば」を頼んだ。もり蕎麦にも惹かれたが1時間前に食べたばかりだし、寒い中を歩いてきたので温かい蕎麦にした。
 一味をふり、一箸蕎麦を啜る。全体的に物足りない感じがする。香、舌触り、喉越し…温かい蕎麦特有の蕎麦の風味が薄いのである。薄く切られたごぼうの天ぷらが蕎麦の湯気の中でそっくりかえっている。これは美味しかったし、健気に蕎麦を助けている。リングになったタマネギの天ぷらもあったが私には要らない甘さだった。ここはもり蕎麦を食べてみなければと思ったが、このごろは腹一杯になってしまったら美味しさも分からなくなるので今回は止めた。また来ようと思ったがどうなるだろう。そんなことを考えながら店を出た。