ミシュラン・蕎麦屋

 新聞にミシュランガイド道南版が出ていた。☆がついた蕎麦屋はなかったがその次のランクとして3店出ていた。食べなくても情報を集めるだけで選べそうな店が選ばれているような気がする。
 西部地区にあること。手打ちであること。カネ久山田を除けば観光客に受けそうな店構えであること。和ごのみの外国人に喜ばれそうなシュチエーションであること。値段が高め設定であること。
 ミシュランが日本の蕎麦屋をどういう基準で評価しているかはどうでもいいが、この格付けの影響力の大きさがそれぞれの蕎麦屋さんが大事にしてきたコンセプトやこだわりをミシュラン基準に合わせるようになるとしたら恐ろしい。
 とくに「たかが蕎麦されど蕎麦」のされどの部分を 和ごのみにしたり観光地でなければだめだと嘆いたりジャズをBGMに流したり蕎麦の後にコーヒーを飲ませたりしないでほしいのである。とくに高い値段設定にすることで「おいしい蕎麦」を装うことは蕎麦の道に反する行為に他ならない。
 カネ久山田のように今まで大事にしてきた蕎麦の伝統をしっかり守る店があったり、住宅街の小ぎれいな蕎麦屋の掛け蕎麦に馥郁たる蕎麦の香りを感じたり、仲のいい夫婦が気を合わせて三たての蕎麦を気持ちよく食べさせてくれる店があったり、下手な手打ちが足元にも及ばないような蕎麦を食べさせてくれる機械打ちの蕎麦屋さんがあったり、ミシュランなんかに格付けできない、してほしくない蕎麦屋さんがたくさんある。
 蕎麦に格付けは不必要だ。私の蕎麦道にも私の好みをもとにした個人的な番付けらしきものは出来てくるし、今回の3店の中に私が「行かなくてもいい」と思っている店もある。だけど他人にはあてはまらない。