伊達紋別岳(1)

 久しぶりに初めての山である。先日、大千軒登山の時知内の道の駅であったKaさんからの花情報に触発されての山行になった。国道付近は青空こそ見えないが明るいが山はその麓から海霧が覆って見えない。8時20分訊きながら登山口に到着した。「太陽の園」という知的障害者の為の施設から登山道は始まっていた。「太陽の園」は駐車場やレストランなどもあり、その自然環境も含めて解放されているようだ。登山者用の駐車場には自衛隊の車があり、若い隊員が準備体操をしている。また園を支援するボランティアの人たちが園内の樹木を剪定するべく集まってきていた。いつもと違う賑やかな登山口風景だ。
 50Mほど行くと園の敷地が切れたところに入山ポストがあり、そこに自衛隊員が記帳していた。何というかわからないが、後方の隊員の為に先行するのが任務なのだろう。その人がいなくなると後方から20人くらいの一隊が隊形をとって登ってきた。先に行ってもらう。聞くともう一隊が来るという。その人たちにも先行してもらう。「すみません」とか「お先に」とか言うので、「熊除けの露払いして下さい」と見送った。
 最初は少しきつい勾配だったが、広く刈り払われよく整備された道で歩きやすい。杉落ち葉の絨毯道である。天気は予想していたとはいえ、深い霧がかかり展望は全くない。まさしく樹木(花)を見て山を見ずの歩きである。
                      先を急ぐ自衛隊の二人。このあとに二班の隊列 

仄暗い木下闇に咲くエゾカンゾウの鮮やかなオレンジが美しい。しかし、あの時のKaさんの話と違って道端のシラネアオイに花はなく、足元のすずらんもない。終わってしまったようだ。目立つ花がない分急勾配に息切れや、だるくなる腰に意識が行ってしまう。仕方ない。この苦しさを楽しもう。上から談笑の声が聞こえる。先行の隊員が休んでいた。三合目「一望台」。左側が谷に向かって窓のように開いている処で簡単なベンチが幾つか置かれていた。我々が行くと上司の命令一下全員が道を外れ笹の中に立った。ベンチにザックを置いた我々がその展望の窓を塞ぐことになる。申し訳ない。とは言ってもそこからは洞爺湖方面から伸びてくる国道に沿った伊達の街がぼんやりと海霧の中に見えるだけだったが…。