知内丸山

 矢越山荘と看板を掲げた旧矢越小学校の校舎横に車が止まる。今年は余花もなくタンポポも終わりかけている。小さなグランドの周りに桜が咲き、タンポポが有れば子どものいない学校も少しは学校の雰囲気もあるが、今年は押し寄せる新緑につぶされそうにも思える。
 登山口の川を渡るとすぐ尾根への取り付きの急勾配である。杉落ち葉で道がはっきりしないまま、直登気味に登ってしまう。傾斜が少し弛んだところで目当ての花が見つかり撮影タイムに救われる。背中の一汗に風が心地よい。急登、開拓台地、急登、八面樹、急登そして百手観音で羊羹タイムにする。あらためて新緑に包まれている心地よさを味わうゆとりが持てる。少し膝が痛むというKuがポールを使うことにしたようだ。私は下山時にこの急斜面をポール無しで降りる心配をした。少し集合に遅れてもポールを探して持ってこなかったことを後悔した。
 少し緩やかな台地を横切ると再び急斜面が続く。たしかこの急勾配は肩の手前で最もきついはずだ。花もそう多くはなく、撮影タイムも少ない。大岩の露出部を越え、樹林がきれたあたりからは風に大きくなれない木の枝に助けてもらって登った。ハクサンチドリを見つけたときは、移す前に座り込んでしまっていた。ようやく我が身を肩まで引き揚げて給水タイムとなった。
 ここからは笹竹原の樹林を塗って頂上へ行く。ここでお目当ての花はまださいていなかった。その代わりかどうか、筍が見つかりだした。まず頂上で昼飯を食ってから…と言いながら、見えるとつい採ってしまう。昨秋にでも刈り払ったのだろうか道は広くあけられていたが、刈り払われた笹が滑って歩きにくい。ここも帰りは要注意の下山ヶ所になりそうだ。

 12時を少し過ぎて頂上着。昼飯に会話が少ない。急勾配のせいだろうか。それでも、昼を済ませた人から淳に竹藪の中に筍を探し始め、結局そこでタケノコ採りになってしまった。いつもだが、一食旬を楽しむ分が取れて頂上をあとにした。下りはやはり怖かった。Kuは下りの膝に痛みはないらしくいつもの通りどんどん下っていく。臆病者の私は後ろ重心で全行程おそるおそる降りいつもどおりしんがりで登山口の川を渡った。
 知内のこもれび温泉に前進を浸したとき音をたてて筋肉疲労がほぐれていくように感じられた。今夏赤岳が少し心配だ。花撮りタイムの多いことを祈るとしよう。