殿様街道

 殿様街道の案内板がある所から歩き始める。すぐに下草も刈られた小さな栗園に入った。そこから先の道を見つけるのに一苦労。熊の糞に驚かされながらやっと小橋の向こうに繋がる道を見つけて登り始める。そこからは良い道が続いた。古道感もあり昔の旅人を偲ぶことも出来た。尾根に近づくにつれ花も次第に目につくようになってきた。シラネアオイ、イワカガミ、ニシキゴロモ、ツルキシミ、クルマバソウ、ヤマワサビ…その花々を訪ねる所々に歴史を感じさせる砲台跡、旧松前線を越える鉄橋などがある。赤く塗られた鉄橋には、昨夜の雨を乾かしているのか三匹のアオダイショウがとぐろを巻いていた。

 尾根を下り川原を歩く。その川原が福島川に出る辺りから福島川に沿って登る。渡渉のための丸木橋で丸木の間に脚を落とした。自力では抜ききれず二人がかりで太い丸木を動かしてもらってやっと抜き取ることが出来た。道が川を離れ、小沢の対岸、小高い所に茶屋跡があった。茶屋があったと言うことは商売が成り立つほどの通行人がいたと言うことだろうが、殿様街道という呼び名よりこの古道を身近に感じることが出来る。生活に結びついた道だったのだろうと思う。日当たりの良い小沢にもどり川原で昼にした。
 茶屋跡から更に伸びるしっかりした道を行くと、前方から男の人が二人降りてきて「川を渡ったところで道が無くなりました」という。持っている地図もイラスト風で読み切れない。「これだけしっかりした道が無くなるのはおかしい。みんなでもう一度探そう」と言うことになった。ぬかるんだ道を行くと川にぶつかった。対岸を探したが道は無い。結局、イラストマップに明確な茶屋跡までもどって、再び健闘することにした。何のことはない、昼飯を食べた小沢がルートで少し登った前方にピンクのテープが見えた。「殿様街道」と広めておきながら、大事な分岐に、ルート以外の道もあるのにピンクリボン等の道標が見つけにくいのは不親切な感じがした。

 その小沢から尾根に取り付くとその後はまた、殿様街道らしくゆったりした道が茶屋峠を越え、登り口の看板に降りた。
 その看板には登り口と降り口は相当離れて描かれていた。花も多く、歩きやすい道なので地元の人のもう少しの心遣いが有れば誰でも歩ける「古道」になるのに…と思った。