向いの家の四兄弟のうち大きい方から三人が野球少年団に入った。自転車のかごにグローブとスパイクが入っているだろう真新しいバッグを積み、おばあちゃんに見送られて出かけて行く。
   薫風や野球少年生まれけり    未曉
 私達の年代の男の子たちのほとんどが野球少年だった。少年団など無かったしチームもなかった。バットもグローブも無かった。ボールの持ち主が喧嘩でもして帰ってしまうとボールも無くなった。それでも野球少年だった。