その1=はじめに…

 退職して7年、いわゆる退職後の生活にもそろそろマンネリの傾向が出てきた。月に二つの句会、週に一度の山歩き、毎日の夕食作り…のパターンが決まってくるとその準備や整理が要領よく出来るようになり半日くらいの「何をしようか…」時間が出来てしまいはじめた。本を読んだり句作すればいいが、せいぜい集中できるのは30分くらいだ。そして、集中が途切れたとき私は必ず口寂しくなってそこいらにある物を食べてしまう。
 歩くことにした。ふと目にした「函館市健康ウォーキングマップ」を道標に町歩きをやってみようと思ったからである。調べてみたら47コースあるという。全コース季節を変えて歩いたら飽きずに歩けるだろうし句作りの刺激にもなる。間食もしなくていい(はずだ)。なるべくアプローチには公共の交通機関を使うようにすれば、いっそう散策らしくなるだろうし、そのコース近くに良い蕎麦屋があったら昼を蕎麦前と蕎麦で楽しみながらたかされ探しも出来そうだ。
 「巴郷散策」は高校時代の部活、新聞局で作っていた青雲時報という新聞に在校当時私が始めたコラム名である。当時出来たばかりの啄木小公園や称名寺等あまり観光地化されていないところを取り上げて、顧問から「職員室で好評だったよ」と言われたことがある。あれからちょうど50年、良い記念にもなると思ってパート2のつもりである。
 いつも道具から入ろうとする私は、今回も新しいウォーキングシューズなどと考えたがそれをあえて止めて、小さなペットボトルにお茶をつめ、デジカメと句帳だけを持って出かけることにした。