瓢箪句会の前、一つ早いJRを五稜郭駅で降り、歩いて五稜郭公園の復元函館奉行所を見学した。
 北方警備が急務だったとはいえ、築城には相当な経費がかかったろうことを改めて知った。奉行所は僅か14年の寿命であり、その価値を発揮できないうちに解体されたことも大いなる無駄と言える。それだけ、前が見えない激変の時代だったのだろう。
 興味を引いたのは奉行所を立てる際に発掘された食器などである。私は子ども時代ここで野球をやって遊んでいた。走り回っていた足の下にあったのかと言う思いが過ぎる。陳列されている部屋は私達の二塁ベースの辺りにあった。
 昔通りの復元がコンセプトであると説明してくれた女性はコートを着ていた。壁は土、漆喰だから断熱効果があるかもしれないが、外に面した長い廊下は板一枚の雨戸で外と隔てられているだけだ。見学者から寒いという苦情が寄せられ、暖房設備をつけたらしいがそれはおかしい。寒さも忠実に復元されるべきだ。
   復元の奉行所寒く春寒く   未曉