報道写真

 北海道新聞社編集部御中
  3月14日(月)朝刊16,17面見開きの写真感動しました。
 地震発生直後からテレビ画面をずっと見続けています。東北地方太平洋沿岸の惨状を見て、何もしてやれない自分のせめてものつとめのような気がしてのことです。
 最初はヴァーチャル世界の映像を見ているように自然の猛威やその破壊力の凄さに驚いていました。危険を避けるため遠い場所からの撮影だったり、俯瞰のアングルだったりだからかもしれません。これではいけないと自らの想像力でその画面にそこに暮らす人たちの命を加えたとき改めてこの大津波の言葉に表わせられない悲惨さを何分の一か思うことが出来ました。
 私と被災地を結ぶ報道に関わる方々のご苦労やご努力に心からの敬意を覚えます。ありがとうございます。
 二日間新聞とテレビ画面から伝えられる報道は、取り残された人々、停電、寒さ、ひもじさの中の避難所暮らし、肉親探し、収容できない遺体、跡形も無い家、街、思い出、「これからどうすればいいのさ」というため息…の連続でした。腹立たしくなるほど何もしてやれない無力感と救いの無さを感じ始めていた時この写真を目にしたのです。
 二日間恐怖と孤独の中で救助を待つしかなかった女の子は表情を失ったかのようです。しかしその女の子を背負うこの救助隊員の若者の、真っ直ぐでひたむきな目の先には背負う子を含めた被災者の明日が見えているような気がしました。希望という言葉をもう一度蘇らせてくれる目です。女の子を背中に縛り付けたロープに緊迫感と無骨な優しさが溢れています。

 この一枚の写真に私も何か出来ることがありそうな気がしてきました。結果的には僅かなお金を送ることぐらいかもしれませんが、この若者の気持ちになり、この写真を写したカメラマンの気持ちになり、この写真を報道者の心とした編集者の気持ちになって送れそうです。
 良い写真ありがとうございました。