庄司山初冬

 庄司山は普通入山ポストのある所から左回りに、北側から頂上を経て南側へ降りて一回りするのが私達の一般的なコースだが、今日はアプローチが桔梗尾根と言うこともあり南側から登るピストン登山になった。
 登山口への分岐を左に登りにかかる。蒲公英の綿毛か…と考えもせず通り過ぎたらKuさんが停まった。センボンヤリだそうだ。
    小春日や飛べぬセンボンヤリ綿毛  未曉
 そういえば、蒲公英の綿毛の時季ではない。
 長く大きなジグを切って落ち葉の道を登っていく。小春の日射しが背中を押してくれる。日陰に入ると汗がひやっとするが登るには気持ちが良いくらいだ。すっかり葉が落ちて向かいの馬鹿恒尾根が透けて見える。大川射撃場も今日は閑かだ。途中で一度鳥影に足を止めたがいつもの花撮影タイムが無く、良いペースで頂上直下の鞍部に着いてしまった。後は尾根の直登で息が上がりがんばるが、中のダムに感心するふりををして一回休み、そして登り切る。
 中のダムを取り囲む雁皮山からの沢筋、尾根筋が弱い初冬の日射しに柔らかな凹凸を見せている。海峡は冬日を照り返し、函館山はハレーションを起こしたかのように朧に浮かんでいる。それを眺めながら熱いお茶を飲みながらコンビニお握りのタラコが辛い。

 庄司山は双耳峰で頂上から北側ルートを少し下がったところにもう一つのポコがある。そこには大岩があり祠がある。Kuさんがみたい植物があり、Yaさんは北側ルートの様子も知りたいのでそこまで足を伸ばした。
岩の根方に合板で新調された簡単な祠があった。岩には注連縄代わりの縄が回されている。誰がここで拝むのだろう。扉を開けて柏手を打つ。その祠のちょうど真裏に今朝の冷えで氷柱が出来ていた。
   祠抱く岩に氷柱の涙めく  未曉