習作、歳時記から「冬座敷」
 座敷と言われるような部屋は我が家にはない。子ども時代を過ごした家には座敷と呼んでいた部屋があった。呼んでいただけで夜になると父母の寝室になる部屋だったが、昼間は畳に漆塗り風の卓があり、南面全部が出窓に障子が明るい落ち着いた部屋になっていた。なぜかあまりそこではごろごろしなかった。客間になったり、応接間になったり使われたが、印象に残っているのは「無尽講」である。母の仲良しグループが月に一度集まって持ち寄りの料理やお菓子でお喋りに花を咲かせていた。
   冬座敷母在りし日の無尽講   未曉
   冬座敷畳みに揺らぐ金魚影   未曉