午後、雨が上がり強風のせいか雲が切れて青空も見えてきた。日射しが隣家の楓を輝かせる。幾本かの枝先は葉を風に奪われ寒々しいが、木の大部分はまだ暖色の衣装をまとって私の部屋の大窓の半分を占めている。
   雨止んで紅葉真先に乾きけり   未曉
 Sakagさんの三百名山完登記念講演会の会場で同窓の研究室仲間に会った。飲む場面しか思い出せないほど飲み騒いでいた仲間である。いや徹夜で私の卒論を手伝ってくれた仲間でもある。何十年ぶりかだが、当然のように居酒屋に流れた。 
   立冬や少し酔ふたか句会起つ   未曉
 次に会って飲む口実として句座を設けることになった。瓢箪から駒のような形での句座の成立だが、あらためて考えてみると、貴族趣味の短歌をアレンジして庶民の文学としてきた俳句の原点のような気もする。私の好きな「たかが…、されど…」の庶民文化の範疇にある。好きに作句することが大事だし、下手や上手は酒で流してしまえばいいと思うのである。不謹慎と呼ぶ権威主義は当たらない。