{山道楽]毛無山

 今回の狙いは頂上部尾根の山毛欅樹林の黄葉である。密かに、帰途、桧沢の滝下流での茸採りも…。
 ここの山の来やすいのは国道のパーキングエリアに車を停め、そのまま登山口に繋がっているアプローチの良さだろう。歩き出してすぐの橋を渡ればもう山世界である。茶色になってしまった落ち葉の上を灰黒くなった大きな朴の葉が覆うように敷かれている。隙間から団栗も見える。国道から僅か10分で山の中である。国道を走る車の音は聞こえるが…。
 昨日の雨で途渉の丸木橋も道が滑りやすい。細かなジグが大きくなり、やがてトラバース気味に斜面を切って北東斜面を回り込むと、大石の沼までの道は笹が被ってそれを漕ぐように歩かされる。見通しが悪いと出会い頭に顔を合わせてしまうような気がして、熊の痕跡は全く無かったが、笛は吹き続けた。第一ポイント、大石の沼に紅葉無し。赤いのは、数えるほど沼に差し出されたナナカマドの実だけである。
 幾つか沢の上部の湾曲部をなぞるように、全て背丈以上の笹をかき分けて歩いた。毛無山頂上部との鞍部に繋がる登りで、下山してくる夫婦に会う。駐車場にあった室蘭ナンバーの人らしい。少しきつい登りを紛らそうと、何年か前この辺りで倒木を覆うほどのボリボリを採った話を思い出し離していたら、同じ所に大きくなりすぎてはいたがボリボリがあった。まだ食べられるものもあったので採らせてもらった。

 頂上部の山毛欅の林は期待はずれだった。黄葉は木の半分以上が落ちた後で残ってはいても灼けたようにちじれ、それらを重ね合わせたアングルで写真を撮った。頂上をもうすぐの所の笹に覆われた道をまたぐような倒木にきれいな色の茸が付いていた。Yamaさんを待って診てもらうと、ムキタケと言い美味しい食菌とのこと。倒木の先に目をやるとまだまだ沢山のムキタケがびっしり付いていた。採ろうと力をいれると水分がじっとり軍手を濡らす。掌より大きい茸が三枚ほど重なって採れてくる。大きなスーパーの袋がたちまち一杯になった。黄葉のがっかりはどこへやら興奮気味の茸採りになってしまった。