尻別岳(2)

 登山口には室蘭ナンバーと札幌ナンバー車が2台。さすが道央圏の山である。
 登ってすぐ留寿都スキー場ウエストMt最上部のリフト降り場に出た。下の方には遊園地の一部とそれに繋がりイーストMtのゲレンデが広がる。尾根が狭くなり、770Mのピークへ向かう。直射日光にはまだ十分な暑さがある。汗が出てくるが一月前のころに比べると少ない。汗が出きらない分身体が重い。少し呼吸を整えながら、広がりを見せる留寿都の畑地帯を見ながらピークを踏んだ。水分補給後50M下って712コルそこから高低差400Mの尾根を登る。登り始めると目視した以上に勾配が急なことを実感させられる。少し登ったところから始まったせっかくの階段道も段差の違いに膝が対応できず両手で膝を押さえながら登ったりしなければならなかった。「いざとなったらストックを出して両腕の力も借りなければダメかもしれない。」などと考えていた。孫誕生のため先週山を休んだKuがつらそうだ。先頭のYamaさんの「ここまで来たら休もう」という声でそのガレ場までやっとの思いで登った。這うように露出した石に腰を下ろし生ぬるい水をごくごく飲んだ。後ろから追いついてきた男の人が少しお喋りをして登り去った。それに吊られて私も立った。
 少し休んだだけでまた登歩き出せるのはいいが、すぐ自然に足も止まってしまうようになる。撮るべき花もなくなることが秋なのかいつもの撮影休憩が無い。ますます急勾配になり、いわゆる胸突き八丁状態になる。気が付くと左に羊蹄が見える。尻別岳の稜線で北側の山裾を隠し秋空に独立峰を聳えさせている。羊蹄の展望所と言われる尻別岳の価値を味える。
 ようやく頂上からの吊り尾根に繋がる肩が見えた。そこまでは足元だけを見て黙々と登ろうとしたが、五、六回は見てしまった。
 吊り尾根は快適な歩き。トリカブトの青紫、草紅葉の向こうの羊蹄山
を撮っている内に頂上に着いた。球形に笹が切り払われカッパの頭頂のような山頂である。10年前の喜茂別コースは笹が被っていてこのままだと廃道になってしまいそうだった。

 帰りも高低差400Mの下りは緊張を強いられ苦労させられた。楽に見えた尾根道は手強かったのである。