駒ヶ岳

 事前申し込み制という制約を伴って解放された駒ヶ岳登山が遂に実現した。いつものメンバーに縮刷版仲間を誘って総勢九人。ゲートの鍵を預かってきているので、ジュンサイ沼の所のパーキングエリアでいったん集合した。グリンピアの十字路を右折すると、駒ヶ岳の剣が峰が初秋の空にくっきりと見える。揃ってゲートを通過。火山灰の埃を立てながら6合目の駐車場に着いた。誰もいない。今日は私達九人の貸し切りのようだ。この大きな独立峰を独り占めしたような気分になる。
 晴天の空から残暑の直射日光が暑い。散歩登山のような雰囲気で三々五々登っていく。ヤマハハコ、あちこちに群生するシラタマノキ、所々にあるコガネギク、Yamaさんに教えられて、ヤナギタンポポやヤナギランの花殻も見られた。少しきつい斜面を百メートル程登ると踊り場のような所がある。お気楽登山なので先行者がベンチなどを利用しながら休んでいる。後続車もなんとなく休んでしまう。その度に、剣が峰を仰ぎ、大沼小沼を俯瞰する。少し霞んでいるが、三度目の駒ヶ岳登山で初めての展望である。登るに従って風が軽く涼風となって心地よい。Sai氏が不調のようだ。

 1時間25分で馬の背に着く。着いたところに直径70メートルほどの円形に縄張りがしてあってそこが登山の最終地点。右手、火口群の向こうの砂原岳、左手なだらかな斜面の上に屹立する剣が峰、共に登りたい気持ちにさせられるがまたげば超えられるロープに止められる。火口原に残っていた岩桔梗の可憐な水色に慰められる。
 最新の大爆発が私が生まれる前の年だったこと、登るときのアクセントになった踊り場が形成された理由をKuさんに教えて貰った。
 昼食、記念撮影後少し寒ささえ感じる中下山。
 帰りがこわい。結構な急坂に加え細かな火山礫の登山道は、足裏の圧力に弱い私には滑る不安が登山口まで続く。その緊張の連続もつらい。結局最後尾になりへっぴり腰で降りることになった。それでも一回大きく滑り、手を突き、膝を小礫にぶっつけた。
 途中名残を惜しむように休みが長くなってしまったせいか49分かかって下山した。帰り着いた登山口はやはり暑かった。Sai夫人がサービスしてくれた冷たい水が美味しかった。
 ゲートの鍵を市役所へ戻す仕事が残っているがそれをKsiに頼んだ。車を通過させ、ゲートに鍵をかけた所で解散。独占駒ヶ岳の一日が終わった。