カニカン岳(1)

 5年前の秋に登っているがあまり記憶になかった。駐車スペースから登山口までのアプローチと、山頂にはイメージがあったが、道中には全く記憶がなかった。
 登山口を入ってすぐ急登が始まる。ゆっくりゆっくり登る。すぐ汗が噴き出てくる。風があるせいか虫が少ない。その風が今日はありがたかった。1、2合目は小さくギグは着られている者のほぼ直登の、急登、3,4合目は沢を横切るアップダウン、5,6合目は緩やかな登りの尾根、7合目から肩への登りは柔らかな土が削られてしまっった急登をロープの助けを借りて登った。もう木陰はない。道北では35度を超えたという直射日光の中である。8,9合目は花が豊かだった。頂上へはめどが見え、花を撮る余裕も蘇ってきた。ハクサンチドリ、アカモノ、ツマトリソウベニバナイチゴゴゼンタチバナ、肩を取り巻け崖にカンゾウがオレンジ色を咲かせていたが、道は離れている。望遠で撮るしかない。岩の隙間を縫うような登山道を登り切ると、右手に雪渓を斑模様に残した狩場山が青く大きく見える頂上に出た。岩に貼り付くようにゴゼンタチバナが群れて花を咲かせていた。いかにも高山の花らしい風情に心が和む。

 痩せた頂上は登山道一本分の幅しかない。20M程の真ん中に三角点、南の端の展望所に頂上標識がある。その岩の一つを借りて4人がそれぞれ一列に場所を取って昼飯にする。まず、半分凍らせた水筒の水を飲む。まだ解けきっていなかったので冷たい。美味い。今日は出発が早かったのでコンビニおにぎりのせいもあるが、汗を出し尽くした身体には食べ物よりお茶の方が美味く感じる。
 大きく動けないが、眼前の展望がよいせいかゆっくりのんびりしたくなる頂上だ。そういえば5年前の時は、Koさん、Yamaさんはスケッチしていた。ぼやっとしているだけでも良い。