私的蕎麦の道(3)・車で寝る(後)

 トイレに行きたくなって目が覚めた。しっかり寝た刊があったので時計を見たら、11時半だった。がっかりする。まかなって外に出る寒い本当に寒い。ちゃんと目覚めてしまった。朝方はもっと冷え込むだろうと寝袋を整え好きを見せないように目をつぶった。無理に眠ろうとしないで句作りや明日のこと、娘達のこと等を取り留めもなく考える。句が出来るとメモする。朝読み直すと、無季だったり散文だったりたいしたもでないことが覆いが、メモしていないで忘れてしまうと大傑作だったような気がして悔しい思いをしたりするのでメモする。その度にしっかり寝袋にくるまる。それでも1時半ころには眠れたようだ。4時に目覚めた。寝袋の中でも薄ら寒さを感じる程だ。トイレに行って来た後、靴下を履きズボンを履いて寝袋に入り直した。この時間になると今日の行動予定を考えることが出来る。黒羽の雲厳寺へ行って…。
 5時半行動開始する。寒いのでヤッケを着て靴下を重ねた。寝袋を袋にパッキングし窓の覆いを取る。フロントガラスの水滴が凍っている。掻き落とす道具を持っていないので仕方なくエンジンをかけヒーターを入れた。内側の氷が溶けたのでふき取り、ようやく視界が出来たところで車椅子の方用の駐車スペースに移動した。小屋根があり、コンロの使いやすいスペースが有るからである。出発までの間使わせて貰うことにした。
 昨日の寒さに懲りて、今日は温かい朝食を計画していた。コッフェルにお湯を湧かしていると、トイレから出てきた男の人が「函館からかい、函館の人と一緒に働いたことがあるよ。北海道の人でも寒いかい」と話しかけてきた。「八ッ場ダムは大変だろうけれどオレん所なんかは大丈夫でねぇかな」と言い、「気ィつけてなぁ」と付け加えて車に戻っていった。いい人だ。このあたりはダム建設が多く、今も近くのダム工事に関わっている人らしい。湧いたお湯をカップ麺に注ぎ、車のボックス卓に運んだ。残りのトマトとサンドイッチ。少し食べて減らした所に温泉卵を落としたアツアツのカップ麺での朝食である。残ったお湯で食器を洗い、冷たい水で歯を磨いた。あまりに冷たいので水で目の縁を濡らしただけの顔洗いでごまかした。昨日風呂に入ったから良いだろう。
 車の中を整え、ゴミボックスがあったので処理させて貰った。地図で今日の走路を確認し、予定した時間通り7時に道の駅を出発した。まず、今市まで戻って奥の細道に合流する。