函館山を歩いてきた。裏山道にさしかかると曇っていた空から細かな雨のような雪が降ってきた。雪に思わせるのは山道脇の枯れ草にたてる乾いた音のせいである。見下ろす函館の街は雪雲の下に鮮やかさを失って沈んでいる。外海の水が白く波立ち大森浜を削っているように見える。もう少し海が荒れたら湾の水と繋がって細いその腰を海に沈めてしまうのではないかと思う。
  冬濤の泡吹く牙に砂嘴の街   未曉
 先々月の句会まで隣の席でにこやかに句作りをされていた桜井静子さんが急逝された。
  冬晴や雲離れ逝く七飯岳    未曉