桜、花見客の喧噪が過ぎた松前を訪れた。先日新聞に紹介された「勝軍山」散策路歩きに蒲公英の白花撮影が目的である。勝軍山の山道は八十八ヶ所巡りの道でもある。

 綿毛となって飛び立つばかりの蒲公英に囲まれた石仏があった。シャッターを押しながらこの蒲公英の種子はどこへ行くのだろう。花を咲かせることが出来るだろうかなどと思っていると、あの石仏は囲まれているのではなく見守っている親のように見えてきた。
 夜、内定を取り消された若者たちがテレビで報道されていた。蒲公英が重なった。
   春逝くや夢持てぬまま風の前   未曉