恵山から鉄山へ抜ける道は新緑の真っ最中である。車を降りてその中に身を置く。無限に等しい若葉の昨日よりもさらなる緑を求める営みの中にいると、人間の営みや命の小ささを思ってしまう。若葉のあまりの緑は寂しい世界である。「分け入っても分け入っても青い山  山頭火」の句が理解できる。
  青山や吾に万緑なだれ来る     未曉
 椴法華はすぐ後ろが恵山が海へ落ちる崖である。日照が日に数時間しかない処も多い。そんなところにある桜は遅い。
  行き過ぎて呼び戻されて崖の余花  未曉