海峡の西口に日が沈む。そこから同じ海水なのにまるで違う色の流れが海峡を縦断するかのように伸びてくる。
   海峡に墨流し入れ春の潮   未曉
 薄茶色の木がまるイノシシの毛のように雪で白いなだらかな山々を覆う。
   獣めく腹の重なり山笑ふ   未曉