泊川渓谷

takasare2008-10-30

 泊川というのは島牧にある日本海に注ぐ川で、河口から4kmの所に宮内温泉がある。今日はその宮ない温泉から上流河鹿トンネルを抜けたところにある終点まで行った。舗装路ではないが二車線の立派な道路が二つのきれいなカーブを描いた橋を渓谷にかけて伸びている。しかし、これも立派な河鹿トンネルを抜けたとたん終点を迎える。「このすばらしいトンネルは何なのだ」と思いたくなるような終り方でこの道は終りを告げる。とりわけ何かがあるわけではない、とりたてて絶景ポイントでもない。
 お金が出なくなったのである。長万部と結ぶ道路を建設していたが中止になったのである。島牧側、長万部側ともに相当キロ伸ばしたそれまでの道路を無駄にしても、これからの費用がもったいなくなったと言う判断なのだろう。無駄の象徴として、この河鹿トンネルはここに在り続ける。たった一つ、狩場山系の花の山「大平山」への登山者にとってはこの上ないアクセス道路であり、ありがたいトンネルである。この終点が登山口になっている。
 もう一週間前ならきっとすばらしかっただろうと思われる紅葉がその名残を見せて秋の日に輝いていた。すばらしい渓谷美を装っていた。
 私は6年間もこの島牧に住んでいた。そしてその6年間宮内温泉を風呂として使わせてもらっていた。なのに、ここから奥の渓谷には足を踏み入れたことが無かった。道路を延ばし始めたばかりで途中までしか車で行けなかった所為もあるが、渓谷美なるものの美しさに無知だったのである。河口から宮内温泉までだって十分きれいなのに、あの頃は毎日のように通っていたにもかかわらず、今日始めてその絶景ぶりに気づいたと言ううつけものである。泊川の上流に黄金沢と言う沢が在りそこから登って行く大平山にはオオヒラウスユキソウという固有のエーデルワイスがあることは聞いていた。しかし、宮内温泉から奥へ行ったことはなかった。
 今になって、連れて行け、連れて行けと騒いでいる。今日はその下見である。来年7月、この道路を通ってあのトンネルを抜けて登るのが楽しみだ。そこで初めて島牧に6年いたと言えそうな気がするから。