横津・烏帽子 花の色

 今時期の花狙いで横津と烏帽子を歩いた。カナダ行きでパッキングしてしまった所為もあるが、天気もいいし握り飯だけを持った散歩気分で歩いた。
 ハクサンチドリがいたるところに咲いていた。もう花期は過ぎているが、形も美しく横津の高原を彩っていた。ハクサンチドリの紫は明るい。華やかである。ブルーと言っていいほどのものもある。YamaさんとKuさんが園芸種ではないかと言っていた苧環の紫は、赤紫で二株だけ見つけた。印象的だったのは烏帽子山頂の棕櫚草の花で、暗紫色で小さな花なので地味で目立たない。教えてもらわなければ私には花と認識できないだろう。カメラを近づけるとピントが合った。その瞬間身を引いてくれたように感じるほど慎ましやかで自己主張に乏しい花である。わずかに小さな花の小さな雄蕊が黄色で虫を誘っている。
 本当に花はその色だけとっても不思議だらけだ。チシマフウロの水色も山頂付近に広がっていたし、ツマトリソウゴゼンタチバナ、カラマツソウ、マルバシモツケの白もいい。オオタカネバラは山には似つかわしくないほど上品な赤い色で咲いてる。エゾカンゾウはオレンジっぽい黄色だが、直ぐ隣に咲いているトウゲブキはクリーム色っぽい黄色ではっきりちがう。
 しかし、今日最も印象に残ったのは棕櫚草の花である。あんな小さくか弱いのに虫ができることはあっても私にできることは何もない。見てあげることと何もしないことだけである。