毛無山・路面

 今日の毛無山の登山道を先週登った大千軒知内コースの登山道を比べると
  大千軒知内コースで踏んだもの=土、小石、落ち葉、岩、流水、泥、木の根、笹竹の切り株、雪…
  毛無山で踏んだもの=土、小石、落ち葉。踏まなかったもの=熊の糞5つと言うことになる。
 標高差も距離も比べ物にはならないが大千軒から一週間後の毛無山はその分とても登りやすく歩きやすい山に思えた。
 霧が山を包んでいる。家を出るときは日差しが強くなりそうだったので覚悟してきたが、霧のせいで寒いくらいの中を歩きだした。濡れた葉が先頭の私の膝をぬらす。ギンリョウソウから始まりいつもの花を撮りながらの歩きがいつものペースを作り出していく。マイヅルソウホウチャクソウ、クルマバソウ…。
 下の方では水がかぶっていたりぬかるんでいる所があったが、斜面を削るように登りだしてからは、地面に落ち葉が敷かれた優しい道になった。花を探している自分に気がついた。自信が無いながらも花の名をかぶせる。そして「これなんだったけ」と訊ねる。まるですぐ人に聞こうとする小学生である。そんな小学生によく言ったものだ「自分で考えろ」「たまには自分で調べろ」…。
 しかし、今日花に目が行くのは路面に心配が無いからのようだ。躓いたり滑ったりするものがほとんど無い。岩の露出や木の根の張り出しが無い。先日登山会があったばかりとかで踏み固められている道は迷うことなく頂上まで続いていた。このような路面だと、登山ではなく山歩きになる。私にすれば、大千軒知内コースの「登山」でははげしくへこたれるが、この毛無山や袴腰岳のような「山歩き」は余裕が持てるということのようだ。
 でも路面も見なければならない。頂上尾根付近には熊の落し物がいくつかあったし、下の方の山道には「落とし文」などという雅な名前のものもあった。
   誰が誰に数で伝えん落とし文    未曉