四日前の三森山のときの山の色も見事だった。川汲への道道は車で走っていったらそのまま緑色になってしまうのではないかと思われるほどだった。緑の坩堝である。
 一本の木がまるで発光体のように、若葉が光を透過させるのか反射させるのか他の緑から区別できたりする。それが古木だったりすると、このまま年老いていくような気分ではいられないような気にさせられる。
  峡深し若葉明かりの山毛欅古木    未曉
 近くの山の山肌を動いていた雲の影が過ぎると、待っていたかのように山全体が若葉で輝く。
  雲の影に解き放たれて山若葉     未曉