明日は母の命日なのでお坊さんにお参りをお願いしてある。だから仏壇周りをきれいにした。思いの外早く終わったので時間つぶしに四季の杜へ車を走らせた。四季の杜は閉じているのか開いているのか正面ゲートだけが半開きだったのでそこから車を駐車場に入れて歩き出した。人は少ない。南の駐車場から遊歩道を田んぼのある谷へ降りた。鴉にしきりに騒がれた。田んぼ横を通り、向かいの舗装道路を登った。芽吹きの前の木立の間から薄ぐもりの空が透けている。決して暖かい日では無いが、枝と枝の間に春の空気が見えるような気がする。啄木鳥が木を撃つ音が聞こえる。聞こうとするといろんな方向から聞こえてくる。突然直ぐ頭上から中音域のドラミングが降るように聞こえてきた。振り仰いでも私の目に姿は見つけられない。立ち止まる。高く低く遠く近く、啄木鳥によっても撃たれる木によっても音が違うのだろう。円形のホールの真ん中でパーカッションの演奏会を聞いているような気分になってくる。
   ドラミングまたドラミング春木立   未曉
 私の下手な俳句では表現できない。
 バックヤードとか言う裏口のような所へ出たので、少し戻ったら東屋の脇に、踏み分け道のようなショートカット路が斜面を登っている。低い雑木の茂みが細く刈り分けられている。小鳥が数羽、私を意に介する風もなくさえずりながら薮を飛び回っている。これも私の目と小鳥の知識では特定すべくもない。
   さえずりや姿も見せて鳥の径     未曉