雪に覆われた畑地を過ぎ、林道は沢に入っていく。そしてゲートを潜ると山の領域になる…。雪が石や地を圧するように覆いかぶさっている。そしてまあるくなっている。どこを見ても角がない。沢地形の底を歩いているのに雪がかぶっていてどこを沢が流れているか林道からはかわからない。ただ、雪と地と接する辺りの雪解けがすすんでいるのか豊かさを増した水量がしっかり音をたてて沢水の走りを教えている。
    林間に音ひとすじや春の水   未曉
 そして、この豊かで速い流れは明確に「明るいどこかへ、希望が匂う何かを」運んでいる。
    誘えや癒えゆく人を春の水   未曉