今日は義母を椴法華まで送っていく日である。義父が気を使って漁師に声をかけて獲れたものをもらっておいてくれた。義父は現役を退いたが長年椴法華で船大工をしてきた。今も小破修理を頼まれたり、道具を貸してあげたり漁師とのコミニュケーションを大切にし、喜びにしている。3月海老漁が始まり、それに伴っての漁もあるらしい。なんと海老約3キロ、真鱈2本、どんこ11本ももらった。海老の殻を剥くのに1時間、どんこの油を採って三枚におろし身を洗って2時間、晩飯を食わずに3時間魚と格闘していた。途中帰ってきた奥さんが鱈を捌いて昆布締めにしてくれたのでそれで終われた。酒が飲めたのは9時になっていた。食うことはゆるくないことだ。私の三枚卸は骨に身はどっさり残っているし、身には骨が残っている。
 海老は活きがいい。頭をむしりとると断末魔のように足や尾が動く。臆病な私はぴくっとし、同情したりする。南蛮海老というらしい。赤い。こんな赤くて海底で浮いた存在ではないだろうかと行き過ぎた同情までする。
  海底に南蛮海老の色哀し    未曉
 どんこは深海魚である。揚げられると口に内臓が飛び出てくる。
  どんこ魚命を咥え俎の上に   未曉
 調べてみないとわからないが、少なくても椴法華では南蛮海老もどんこも3月、春の漁である。