ひな祭り 
  雪洞が走馬灯なる雛の間    未曉
 2月29日久しぶりの飲み会があった。お礼奉公のつもりで一年間仕事をさせてもらった。いわゆる再任用である。その最後の勤務校の学年を組んだ同僚たちと「美食の会」なるメタボリックまっしぐらのような名称で美味しいものを食べよう会をやっている。年に2〜3回主に「田ざわ」という天ぷらの店でやることが多い。函館辺りにはあまり無い味と雰囲気でしっかり天ぷらが楽しめるからだ。
 先附けから酒、水、に到るまですべてが蕎麦を楽しむために設定されたコースになっている。天ぷらもしっかり下ごしらえがされたものがからっと揚げられてくる。油を感じさせないけれど天ぷらなのである。カウンターに座り店主お任せで酒を飲み喋っていればいい。菜ばしの先の揚げ立て熱々の天ぷらが敷き紙の上に置かれる。それを食べるだけでいい。食べさせてくれる一つ一つにも工夫を感じる。時々サプライズがあったりする。
 今回は、蕗の薹が印象に残った。まだ地のものはないから、聞くと三陸産だと言っていた。懐石料理では「走り」というべき味わい方なのだろう。全国を相手に季節感や美味しさを楽しませてくれる。
  陸奥が見ゆる天ぷら蕗の薹   未曉
 天ぷらとは別に、店主が好きで手打ちしている蕎麦をオプションできる。最後にこれが食べられる楽しみがある。
  雪ざらしてふ粉の蕎麦酒の後  未曉