赤川林道・第一渡渉まで

 中野ダムのダムサイトに車を止めようとしたら、林道に繋がるダム湖岸の道路が除雪されている。駐車スペースを探しながら車を進めると除雪はさらに奥へいざなうように続いている。歩くために来ていると言い聞かせるように雪を押して道が広げられている所に車を置いて歩き出した。スノーシューをザックにくくりつけ、つぼ足で歩く。今除雪されたばかりのような道なので、何の苦労も無い。暖かいので冷たさを感じない素手でカメラ操作ができるのも久しぶりだ。
 黒井川と赤井川の合流地点では、氷のドームができその下を水がはねていた。いつも崩落している所では、岩から染み出たしたたりが氷柱を作り、それが繋がって氷の壁を作っていた。もう少し透明度がよければなーなどと勝手なことを思いながらあれこれ絞りを換えたりシャッタースピードを変えて撮った。よく見えない眼で、映り具合も予測できないまま写しているのだから良い写真になっているはずはないが…。ブナの実は手前の実にピントを合わせ、奥の実をぼけさせて撮ろうと思ったけれどうまくいかなかった。寒禽の鋭い声が時折聞こえるが姿は見えない。
 すたすた歩くような感じでアメダスまで来てしまった。依然林道はきれいに除雪されている。車でも十分登ってこれる。その道をさらにすたすた歩く。ミヤマカケスが舞い降りてきた。我々を恐れる風も無く10メートルくらい先の林道上をちょんちょん歩いている。近づくと同じだけ道路を奥へ進む。たまに飛んでも道路脇の立ち木に止まって我々から離れようとしない。我々から離れないのではない。除雪されて所々削られて露出した土が狙いらしい。地面から虫でも探そうとしているのであろう。羽を広げて飛ぶ瞬間とか狙ったがだめだった。
 沢底を舗装して車が渡渉できるようにしてある一つ目の所まで来ると、重機の唸る音が聞こえてきた。水を漕いでそこを渉ると除雪の主がいた。まるで私たちの道を作っているかのように私たちの前を除雪していたことになる。除雪車の前は、スノーモービルのトレースも無く深い雪だそうだ。除雪車はこの先2km進むという。字間もちょうど昼になり、我々はそこを今日の最終ポイントとして飯を食うことにした。
 帰りは下り、除雪仕立ての林道をさらに速いすたすた歩きで今日のトレッキングを終わった。背中のスノーシューがちょっと重く感じた。