赤沼さん(2)

takasare2007-11-29

 降り立った林道を麓を目指して少し登ると赤沼神社に下りる参道があった。本社が中野ダムの下にあってこの沼が奥の院というか霊場になっている。この沼に竜神が立ち信仰が始まったといわれている。私が小さい頃から「赤沼さん」とさん付けで呼ばれる庶民的な信仰という感じがする。昔に比べ社も立派になり、舗装はしていないまでも、ここまで車で来られる道があるのだから、支える信者も多いのだろうと思う。
 雪の中に五体ほどの石像を祭った掘っ立てのような建物、鳥居があり、沼の周りには灯明台、小さな祠などがある。雪の中だけに寒々しい。何月かは忘れたが、以前来たときは緑が茂っているときで、沼の面には朽ちた木の葉がびっしり浮き、陽射しもない中で、神秘的というよりいかにも竜神出現にふさわしい雰囲気だった。硫黄臭も強かったし、沼は本当に赤く煮え立つ寸前のようだったが、今は沼の水も透きとおってきれいだし、懇々と湧き音を立てて流れ出している。雪が霊気を覆ってしまっているかのようだ。冬の赤沼さんは、洒落ではないが霊気よりも冷気が強い。
 しかし、この水は亀田川となる。ということは、この水で我々函館市民は生きている。これ以上のご利益は無いことになる。その意味でまさしく「赤沼さん」とさん付けで呼ぶにふさわしい。
 陽射しが届かぬ冷気の赤沼を避け、参道の入り口まで戻って昼飯にした。
 雪に隠れた泥に足を突っ込み、氷でコーティングされた石で滑って転び、最終は落ち葉で足を癒されながら分岐まで下りてきた。急遽三角点を目指した藪漕ぎから赤沼参りになった林道歩きだった。