余市岳・キロロスキー場の陰

takasare2007-09-14

 案の定、前峰の下りでハイマツの根が作る段差で体制がひねられたとき足が吊った。伸ばすのはいいが曲げると吊る。歩こうとすると腰から尻を抜け、周り込むように右ひざの内側まで硬直する。みんなに迷惑をかけることになるなと暗澹たる気持ちになった。しかたない。あきらめて座った。でも何かしなければ…。足を伸ばし、膝裏を引き伸ばすようにつま先を体方向に踏み返してもらったり、思い出してヴァンデリンを出し膝上のファスナーを開けて塗ったりした。すると腰から尻にかけてのこわばりが消えた。立ってみると楽である。歩いてみたがさっきまでの痛さもないし吊っ張りそうな不安感も無い。何が効いたのかはわからないがまるで何事も無かったかのように回復してしまった。最初は注意して歩いたが鞍部の底に着くころには忘れて歩いていた。鞍部から展望台の所への登りで今度はYaさんの足が吊った。まったく同様にしたらまったく同様に回復した。これは今後に役に立つ。
 尾根からの急勾配を下りきった辺りから、登るとき目をつけていた茸を採りながらの下山になった。登山口に着くころには、夫々が味噌汁一回分位のボリボリを提げていた。3時を過ぎている。これから林道歩きを1時間としても予定より3時間遅れは必至である。みんなで開き直った。3時間遅れてつけばいいのである。サッカー五輪予選が見られなくなるだけである。
 林道歩きでは、予想以上にボリボリが採れた。道端の1.2本に誘われて沢に下りる斜面に顔を入れるとボリボリの薄茶の傘が点々と広がっているのである。たちまち小さなレジ袋はふくらみ、後で山分けする必要が無いほど夫々満足する量が採れた。茸の袋をだらしなく揺らしながら林道を歩いた。足は惰性で動いているだけである。それでも眼はボリボリを探している。とにかく疲れている身にはこの林道は長いく感じられる。歩いたことで茸が採れたことも忘れて林道に文句がつぶやかれるころになってようやく、スキー場の施設が見えてきた。
 駐車場のアスファルトの上に収穫物を広げ、Yaさんにおかしな茸が混じってないか点検してもらい、くたくた汗まみれの体をシートに置いた。
 スキー場の駐車場に車を停め、スキー場の作業道として整備されている林道を歩き、その林道で茸を採らせてもらった。スキー場の陰の細々とした道を虫のように登る姿を俯瞰想像すると我ながらけなげである。リゾートに比べた私の山登りのけなげさかもしれない。