「吉野屋」〓遠野市

takasare2007-03-24

 盛岡から花巻そして遠野から仙人峠を経て太平洋岸までの釜石街道は遠野の部分でバイパスになっている。駅前の蕎麦屋からバイパスに面したファミレス風の蕎麦屋へ変わるべくして吉野屋は変わっていた。
 12時少し前入店、1050円のひつこ蕎麦を頼んだ。メニューに書かれたものを読むと、「ひつこ」とは山仕事をする人が持ち歩いたお椀型の弁当箱をいうらしい。飯、おかずを重箱のように重ねられるようになっていたのだろう。蕎麦は二八ということだ。
 出された蕎麦は、四段重ねで一番上のひつこには十文字の仕切りがあって、のり、刻み葱、しいたけを甘辛く煮たもの、ささみに薄味をつけて煮たものが薬味として入っていた。下の三段にはやや黒目のそばがそれぞれ入っていた。その他に、かけ汁の入った徳利と、同じようなお椀に割りいれられた卵がついていた。
 それぞれのお椀で好きなように薬味をトッピングして、徳利の汁を冷がけのようにかけて食べる。蕎麦がおいしい。田舎そば風だが香りはそれほどでもない。味が強い。何より口ざわり、舌触りがいい。冷たい汁をかけて食べるせいかもそもそ感が少ない。しっかり蕎麦である。同行した義理の父と母はもともとそば食いではないので残してしまったが、これ幸いとその分もいただいた。
 昼時になり30人を越す客を一人の店員でこなしていたが、そのせいかそば湯は頼んでからしばらくして届いた。遅かったが十分濃いそば湯で美味しかった。温かい蕎麦も美味しいのではないかと思った。
 また、遠野市を訪れる機会はあるだろうか。そんな思いで店を後にした。